どの対戦FPSでも活かせる普遍的エイムスキルを考える

KovaaK's シナリオ制作者・コーチ・求道者の人々が一度は夢見る「これやっとけば上手くなる」練習の確立。様々な視点から競技を切り取り、抽象化し、練習を構築してきたものの、いまだその夢の頂には至らず、相変わらず試行錯誤の日々を続けている。

ひとくちにエイムといっても種類は様々で、ゲームによって求められるエイムが異なる。キルに要する時間が長いゲームであれば、回避運動を追いかけるエイム。ヘッドショットで一撃必殺のゲームであれば、小さな範囲に素早く合わせるエイム。スピーディーに飛び回るゲームであれば、前後に振り向きつつ合わせるエイム。オブジェクトを積み上げるゲームであれば、高低差に対処するエイム。弾速が遅い武器を使うゲームであれば、着弾までのタイムラグを考慮したエイム。こうした多種多様な前提を含んでいるにもかかわらず、「エイム良くしたいなぁ~」と表現できてしまう。これが、エイムに関する話題で食い違いが起きる原因であり、興味深いところでもある。

どのゲームでも活用できる普遍的なエイムスキルは何だろう。それを探して抽出するのが最近のテーマになっている。自分で手を動かして対戦に身を置くのはもちろん、他の方々が投稿するクリップや配信の模様などからアイデアを得られることも多い。

そこで、現時点で思う普遍的エイムスキルを三種類ほど、自分の思考の整理のために書いておきたい。

物陰から飛び出して初弾を当てるスキル

どのゲームにおいても遮蔽物は友達。複数人からの射線を切り、不覚をとった撃ち合いをキャンセルし、機会を伺う。エイム以前に立ち回りとして強い。つまり、それだけ「物陰から飛び出して初弾を当てる」機会は多くなるはず。

関連して「視界がふさがれたスモークから飛び出す」「射線がふさがれたバリアから飛び出す」というシチュエーションもある。キャラクターの移動、移動直後の瞬間的な認識、初弾を当てるエイムといった要素は共通している。

マップの知識に基づき、あらかじめ相手が居そうな場所にエイムしておいたり、足の左右移動だけで所定の場所を決め撃ちしたりといったスキルもあるが、こちらはより個別のゲームごとに紐づいたスキルになる。おそらく、エイムゲーム側で工夫するよりも、対戦ゲーム側でマップと照らし合わせて練習した方が良いだろう。

自作シナリオでは、「Repeating First Shot」「Vision Blocker Dodge」「Zigzag Headshot」あたりが該当する。もっと良い在り方がないか模索していきたい。

左右に小刻みに動く相手を狙うスキル

ゲームごとに回避運動のパターンは異なる。ジャンプ・スライディング・ブースト・ブリンクと、パターンは様々だが、もっとも基本的なのは左右の移動になる。この動きに対して安定してダメージを出せれば、撃ち合いは優位になり立ち回りも楽になる。

単純に手で合わせるだけでなく、自キャラクターの移動も組み合わせて狙うと良い場合もある。ただし、これは移動中も十分な武器の集弾率を持つことを前提にしているため、汎用性は若干低くなるかもしれない。こうした移動を絡めたエイムを KovaaK's コミュニティでは「Strafe Aiming(ストレイフエイミング)」と呼ぶ*1

ゲーム次第ではあるが、自分と相手の移動速度はほぼ同一のため、相手の動きに同調するように動くと手で合わせるエイムが楽になる。こちらは Strafe Aiming の中でも「Mirroring(ミラーリング)」と呼ばれる。

自作シナリオでは「Auto Balanced Fast Strafes」「Auto Balanced Thin Strafes」「Auto Balanced Stair Dodge」が該当する。Strafe Aiming をテーマにしたシナリオはあまり作ってこなかったため、いずれ考えたい。KovaaK's 内シナリオブラウザで「Dodge」と検索すると移動シナリオがいろいろ見つかるので、興味がある方はそちらを試してみると良いと思う。

自分と逆方向に動く相手を狙うスキル

KovaaK's のコミュニティでは「Anti-Mirroring(アンチミラーリング)」と呼ばれる概念。自分が右に動いているときに相手が(自分から見て)左に動くといった具合に、逆方向に動きながらの撃ち合いを指す。互いにすれ違うことで、各ゲーム固有のキャラクター移動速度以上の相対速度に見えるため、狙うのが難しくなる。遮蔽物から飛び出した際の瞬間的なエイムにも Anti-Mirroring が含まれる場合がある。

難しい動きだが、だからこそプレイヤースキルで差をつけられる動きともいえる。体力やリソース差で不利を被っている局面においては積極的に Anti-Mirroring を仕掛け、有利な場合は Mirroring で与ダメージを最大化する、という使い分け戦略もある。

これをテーマにしたシナリオは作っていなかった。強いていえば「Revolving Tracking Strafes」が該当するかもしれない。こちらもいずれ考えてみたい。